労務管理の基礎知識

勤怠管理システムは、総務部や、労務部の要望により構築されるが、それのもとになっているのが「就業規則」、「労働基準法」、「36協定(サブロクキョウテイ)」のような法律、規則である。
これらの基礎的な知識を理解しなければ勤怠管理システムをより使いやすいものとすることは難しい。

労務管理の基本内容

労務管理を広い意味で捉えると、
①労働力を効率的に活用する
②労使の協力関係を維持する
という二つの課題を実現させていくことで、人に関する管理のすべてを包括したものといえる。

社員一人一人について個別管理をいかにすべきかを展開する分野が人事管理である。一方、集団としての労働力に関する集団管理についての分野が狭義の労働管理といえる。

人事管理や労務管理はいずれも人の行動を組織として目指す目的に向け活用することである。
労務管理の実務はそれぞれの分野で最大の効果を出せるよう、有機的に関連させた施策を実施することになる。

就業規則

労働者に支払う賃金や労働時間などの労働条件、職場秩序を維持するための職場内で守るべきルールについて、使用者が書面にて明文化した職場の決まりごと。採用や異動、服務規律、労働時間や休暇及び休日、賃金、教育訓練、退職金など様々なことが就業規則で規定されている。普段はあまり目にする機会が少ないものの、勤怠管理システムを検討する際にはきちんと見直して、システム側に反映できる製品が必要となる。

労働基準法

労働関係の代表的な法律の1つで、「労働組合法」や「労働関係調整法」とともに労働三法と呼ばれている。労働条件の最低基準を定めた法律として必ず内容は把握しておきたい。賃金や労働時間、休息、休暇などについて規定されている。

36協定(サブロクキョウテイ)

労働基準法では、労働者の労働時間が1日8時間、1週間に40時間までと決められているが、労働時間を延長又は休日出勤を命じるためには、その旨の規定を就業規則で規定し、さらに労使間の協議による協定を締結、これを労働基準監督署に届け出なければならない。この労働時間延長の協定が労働基準法第36条に明記されていることから、一般的に「36(さぶろく)協定」と呼ばれている。ただし、所定の手続を踏んだとしても、延長できる労働時間の上限が決められている。

変形労働時間制と裁量労働時間制

変形労働時間制は、一定期間を平均して法定労働時間(原則40時間)の範囲内に総労働時間が収まっていれば、特定の日や週に1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて労働させても割増賃金を支払う必要がなくなる制度である。

労働基準法第32条に規定があり、1年単位か1ヵ月単位の変形労働時間制が選択できる。またフレックスタイム制や規模30人未満の特定事業を対象にした1週間単位の非定型的変形労働時間制もある。前述したとおり、繁忙期と閑散期で労働時間を平均化し、賃金の最適配分を行うことができる制度だ。ある閑散日の労働時間が3時間で終わり、繁忙日に13時間働いたとすると、平均すれば1日8時間の労働となり、繁忙日に発生することになるはずの法定割増賃金を支払わなくてもよくなる。

裁量労働時間制は、業務の性質上、業務遂行の手段や時間配分を労働者の裁量にゆだねる必要のある業務に適用される制度。要は「この業務内容なら一般的に労働時間はこれくらいかかる」という「みなし労働時間」を設定することができるのだ。この裁量労働時間制は専門業務型と企画業務型とがあり、ゲームソフトウェア開発や記事の取材・編集を行う業務、プロデューサー、ディレクターなど特定業種に関して、労使協定や労使委員会の決議で決めることができる。

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